実はとっても重要な構成案(ワイヤーフレーム)について知ろう!

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これからホームページを発注する方向け

フリーランスWebデザイナーの山本です。
Webサイト制作を発注したら、デザイン制作の前段階のステップとして多く導入されているのが、構成案(ワイヤーフレーム)の提出ではないかと思います。

この構成案ですが、サイトにとって実はとっても重要なものになるため、クライアントの立場の方もどういうものか理解しておいたほうがよいのではないかと常々思っています。
ということで、構成案(ワイヤーフレーム)とはどのようなものなのか、まとめてみたいと思います。

構成案(ワイヤーフレーム)とは?

構成案(ワイヤーフレーム)とは、ページ内に「何を」「どこに」「どのように」表示するかを表したものです。

photo by podluzny

基本的には色や装飾などのデザイン要素は使用せずに作成します。

構成案はデザインと違ってわかりづらい?

Web制作のプロとしてお客様に構成案を提出して毎回感じるのは、デザイン案については、ああでもない、こうでもないとクライアント様が非常に熱心に確認される反面、構成案となると全く熱心には確認されない、ということです。

デザイン案は比較的わかりやすく「好き/嫌い」という個人の好みでもジャッジが可能です。
そのため、Web制作の現場では「関わっているメンバー全員がデザイナーになってしまうのが悲劇」だと皮肉られるくらい、さまざまな意見が出ます。

構成案はデザインとは違い、モノクロで、何をジャッジすればよいかわかりづらいと思われるのか、重要なものであるはずなのに、あまり確認がしっかりされていないように思います。

構成案はとても重要

サイトの成功にとってデザインと同じくらい、もしくはそれ以上に重要なのが、実はサイトの構成です。

何をどのタイミングでどのように伝えるのか、どういう機能や情報が必要で、それはどれくらいの大きさでどこに配置されるのかを決めることこそサイトが成功する重要なポイントだと言えます。
ユーザーはサイトのデザインで商品やサービスを選ぶわけではありません。

「とりあえず」でも作れてしまうところに問題があるのが構成案

制作会社さんとのお仕事で、クライアント様との初回の打ち合わせも行っていないタイミングで構成案が出てきてびっくりしたことが過去にあります。
お話をお伺いしていると、その担当者さんはクライアント様のビジネスに関してもそれほど理解されていらっしゃらない様子で、構成案についても「打ち合わせ時に何もないよりはよいと思ってとりあえず作りました」とおっしゃられていました。

これはよい制作フローとは言えません。
どのような暮らしをしているどんな家族かわからないのに家の設計図を作ってしまうのと同じです。

構成案は、デザインやHTMLコーディング、プログラミングのように制作するのに専門的な技術やソフトは必要ないため、「とりあえず」でも作ってしまえるのが問題と言えるかもしれません。
そのように「とりあえず」で作ってしまった構成案が、クライアントのビジネスの解決に繋がることはまずないでしょう。

では、成功するWebサイトにするための構成案に必要なものとは何でしょうか?

構成案に必要なもの

構成案にはビジネスやユーザーについての理解が必要

ビジネスの理解

お客様のビジネスを理解せずにサイトの構成を作るのはとても難しいです。
お客様はどんなビジネスを行なっていて、どんな人が顧客なのか、将来どうしていきたいのか、お客様のビジネスの最大の強みは?顧客はお客様のビジネスのどんなところに魅力を感じてその商品やサービスを選んでいるのか?サイトで解決すべき問題点は?
など、お客様のビジネスを理解しなければいけません。

ユーザーの理解

サイトを使うのはユーザーです。
どんな人がユーザーでユーザーが求めているのが何であるかを理解する必要があります。

あるテニススクールのサイトで最も見られているコンテンツは「レッスンのタイムテーブル」です。
ここから、既存の生徒の方々がレッスンのスケジュールを見にサイトに来ている、ということがわかります。

その事実を知らずに、発注側のゴール=新規入会だけを意識してサイトを作ってしまったらどうでしょうか?
サイトでタイムテーブルを見たいと思っている多くの生徒さんが困ることになります。

これらはアクセス解析からわかる単純な事実ですが、単純な事実をも把握せずにリニューアル作業に着手してしまうプロジェクトも数多くあります。

ビジネスで何を達成したいのかをまったく理解せずに、ビジネスのための課題解決方法をデザインすることができるものでしょうか。
そしてまた、私たちは、いつもビジネスの最優先事項ばかりを重視するわけではありません。顧客や実際に使うユーザーのニーズと優先事項とのバランスを取らなければならないのです。そもそも、ビジネスの優先事項をサポートするためには、ビジネスそのものを理解していなければなりません。

ユーザーやクライアントのビジネスについて理解をするためのリサーチ・ワークショップ

最近は、UXデザインの手法がWeb業界にも取り入れられ、ユーザーやクライアントビジネスを知るために、さまざまなリサーチやワークショップを実施することが増えてきました。

クライアントのビジネスの問題を解決しなければいけないはずなのに、Web担当者の要望だけを聞いて制作に着手するということは非常に危険なため、ビジネスの現場を実際に訪れて行動観察したり、時にはインタビューを行ったり、実際にサイトを使うユーザーを調査したり、調査から得た知見を元に制作を行うようになってきています。

Webで成功している企業は皆ユーザーの調査に力を入れているそうです。

そのような実際のビジネスやユーザーに関する知見を元に構成案を作成することで、「あてずっぽう」「とりあえず」ではない、事実に裏付けされた強い構成案を作ることができるようになります。

ちゃんと作ればすべての要素の説明ができる

裏付けされた上で作られた構成案は、すべての要素について説明をすることができます。
構成案が制作会社から上がってきたら、各要素について、これはなぜここにあるのか、どういう意図なのかなど、聞いてみると良いのではないかと思います。

説明を聞くことで各要素の役割を理解できれば、それが適切かどうかジャッジしやすくなりますし、それならこのほうがよいのでは?などクライアント側の視点から見た改善点なども出てくることもあるでしょう。
また、好みや思い込みで、間違った修正指示をしてしまう可能性も減らすことができます。

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この記事を書いた人

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山本美代子
フリーランスでWeb制作を行なっています。
美術系大学後、情報誌の会社のWeb制作部、Web制作会社を経てフリーランスに。
ビジネスに貢献できるサイト制作のために、UXデザインや結果のでやすいUIパターン、ユーザビリティについて学び、実践しています。
サイト制作についてのご相談などお気軽にお問い合わせください。